君と二人でいられること。
あれからしばらく仲良く過ごす日々が続き、夏休みに入った。

夏休みはSNSでの勝負だ。つまり、SNSの投稿に定評のある私たちにとても有利ということ。

二人とも寮に残るということで、写真を投稿してはいいねを稼いでの日々が続いた。

「春香、出かけよっか」

珍しく夏也くんに連れ出され、たどり着いた先は

「ジ、ジュエリーショップ?」

「指輪、約束しただろ?」

「あ、」

忘れていたわけじゃない。ただ、もっと先のことなんだと思っていたんだ。

「これとか?あ、これは?」

珍しく子供のようにはしゃぐ夏也くんに私も気分が上がってきた。

しばらくして、ようやく決まった。

シルバーのシンプルなデザインのペアリング。

部屋に戻って早速開封して身に着けると、彼も同じようにして指輪を身に着ける。

「なあ、」

呼ばれてから振り向くと、唇に柔らかいものが触れた。

それが彼の唇だと気づいたのは、それが離れてからだった。

「え、今のって」

夏也くんはいたずらっぽく笑ってから、何事もなかったかのようにスマホで指輪の写真を撮っていた。

その日の夜は、昼間のせいかよく眠れなかった。
< 11 / 24 >

この作品をシェア

pagetop