君と二人でいられること。
「し、失礼します」

ドアを開けた途端に香るシトラスの香りに導かれ、部屋に入って挨拶をしてみるものの返事は帰ってこず、誰もいないのかと思えば中から寝息が聞こえてきた。

奥へと足を進めると、ベットに人がいた。

「き、きれい」

思わず見とれてしまうほど整った顔があり、声が漏れたとき、天使が目覚めてしまった。

「ん、は?あんた誰」

突然の質問に答えられずにいると、ギロッと睨まれた。

「え、あ、睦月春香です」

「ふーん。俺、如月夏也」

それだけ言ってベットから出ると、トイレに行ってしまった。

「如月くんか、」

あの人が、私のパートナーなんだ___。

物思いにふけっていると、入学式が始まるとの放送があり、如月くんとともに体育館へとむかった。

「入学おめでとう諸君!運命の相手(パートナー)との出逢いは果たしたかな?」

七海夫婦の話から始まり、記憶の中に残っているのは一つだけ。

『世界一の結婚をしてもらう』

七海夫婦はそのためだけにこの学園をつくったそうだ。

これでもう、1人じゃないんだ。そう思っただけでとてもうれしくなった。

「あ、睦月だっけ?」

「はい」

部屋に入った途端名前を呼ばれ、少し身構えると、

「敬語辞めて。あと俺めんどくさいこと嫌いだから。それだけ。じゃな」

それだけ言うと彼は布団にもぐって寝てしまった。

そのあとは、1人分のご飯をつくって如月くんの眠るベットの上の段に上った。

「おやすみなさい」

返ってこないとわかってはいるものの、一応それだけ言って瞼をとじた。

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