君と二人でいられること。
『それじゃー“ドキドキ青春の借り物競走”男子一斉に___スタート!』

午後最初の競技は借り物競走。

男子が一斉に駆け抜けていく中、上位の方に夏也くんの姿が見えた。お題を確認するなり、すぐに周りを見渡し始めた彼に、

「誰か探してるのかな?」

と疑問を抱いていると、彼と目が合った。

こっちに向かって走り出してきて、私の目の前までくると

「来て」

とだけ言って私の手を握って走り出した。

障害物を一つ一つ乗り越えてゴールを目指すうち、普段とは違い本気な彼に見とれてしまっていた。

だが、ゴール直前に鮫上・倉下ペアに追い抜かされてしまい、惜しくも2位になってしまった。

「お題、何だったの?」

そう尋ねると、

「ん」

と紙を差し出して私に見せた。

そこには、”好きな人”の文字があった。

「え、」

「こんなの、お前以外にいるかよ」

それって、それってさ、私のことが好きって解釈してもいいの?

あれ?私って___。

そっか、私は夏也くんのことが好きなんだ。
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