双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
畳の上にくっついて敷いた二枚の布団で互い違いに転がって、双子が寝息を立てている。

それを葵は隣で横になって見つめている。

子供にしては少し多めの黒くて真っ直ぐな髪、大きくて優しげな目元、意志の強そうな口元は、彼らの父親そっくりだ。

連れて歩くと可愛いと道ゆく人に声をかけられることも多かった。
寝返りを打ち、薄暗い中天井から下がる電気をジッと見つめる。

明日も朝早くに起きて晴馬を近くの外科へ連れていかなくてはならない。

もういい加減寝なくてはと思うのに、頭が冴えて眠れなかった。

晃介との夢のような日々が終わりを迎えたのは、突然のことだった。

彼が研修で地方へ行っていたある日、唐突に理事長室へ呼び出されたのだ。

待っていたのは、晃介の父白河大介(だいすけ)、白河病院の頂点に立つ人物だった。

恋人の父親だとはいえ、葵にとっては雲の上の人物からの呼び出しに、怯える葵に切り出されたのは残酷な命令だった。

『晃介は、将来我が白河病院を背負って立つ人物だ。新人看護師の君などの相手ではない。今すぐに別れなさい』

冷たく言い放たれたその言葉に、葵は冷や水を浴びせられたような気分になった。
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