双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
「おかえりなさい」

声をかけると、荷物を置いて微笑んだ。

「ただいま」

そしてすぐに葵のところへやってきて、頭に手を置き心配そうに覗き込んだ。

「子供たちと君だけにして悪かった。落ち着いたか?」

葵たちの荷物を取りにいってくれたのに、そんな風に言う晃介に葵は笑みを浮かべてお礼を言う。

「大丈夫、荷物ありがとう」

このマンションは、一階にコンシェルジュがいて、たとえ宅急便の配達員でもマンション内には入れない、というほどセキュリティが万全だ。

彼がいない間も安心して過ごせた。

「ならよかった。子供たちも場所に慣れたみたいだな」

ご飯を食べてご機嫌になり、自由に歩き回る子供たちを見て晃介が笑みを浮かべる。そしてぽつりと呟いた。

「なんか、変な気分だな。ここに晴馬と悠馬がいるなんて」

その言葉に葵は思わずふふふと笑う。

「私もそう思った。晃介の部屋、昔と全然変わらないから……。子供たちを連れてタイムスリップしてきたみたいな気分」

晃介が部屋を見回して頭をかいた。

「葵が来なくなってからは、仕事して帰って寝るだけだったから……料理をするわけでもないし。まぁそのままだな」

そう言って少し考えてから深刻な表情になる。

そしてソファの葵の隣に腰を下ろして口を開いた。

「葵、荷物を運んでいる間に考えていたんだけど……俺たち、このマンションで一緒に暮らさないか?」

「一緒に暮らす……? ここで?」

「そうだ。さっきも言ったが、君のマンションはもう安全とは言えないだろう? あそこへ君たちを帰すわけにはいかない」

そう言って晃介は、膝の上の葵の手に自らの手を重ねた。
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