双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
「俺にとっては君たちが世界で一番大切なんだ。離れているうちになにかあったらと思ったら気が狂いそうだよ。周りにはバレないように配慮するから、当面のところはここにいてくれ。……本当は、俺はずっと一緒に暮らしたいけど……。難しいなら、ほかに安全そうな所を用意する。だから、それまでは」

眉を寄せて切実な思いを晃介が訴える。

するとその彼の膝に、ソファをよじ登ってきた悠馬が乗った。

するとそれを見た晴馬が背中に覆いかぶさった。

いつになく深刻な様子の父親をふたりとも不思議そうに見ていた。

その光景に、葵の胸が熱くなる。

はじめての場所なのに、子供たちはまったく怖がったりもせず平気な顔をしている。
 
それは葵がいるからというだけでなく、晃介がいるからでもあると思う。彼はもう葵たち親子にとってなくてはならない存在だ。
 
彼がいる場所が世界で一番安全で心から安心できる場所なのだ。

子供たちと晃介と、葵。
四人は一緒にいるべきなのだ。

「うん、そうさせてください。よろしくお願いします」

自然とその言葉が口から出て、葵はペコリと頭を下げる。

悠馬が「あいー」と言って、葵の真似をするように可愛いお辞儀をした。

晃介が目を見開いた。

「……いいのか?」

自分から提案しておきながらそんなことを言って聞き返す。

葵は首を傾げた。

「え? ……ダメだった?」

「いや、もちろんいいよ。……でも絶対断られると思ってたから」

一生懸命説得しようとしていたところ、葵がすぐにイエスと言ったものだから拍子抜けしたようだ。

葵は立ち上がり、晃介の背中から肩に足をかけて頭までよじのぼろうとする晴馬を抱き上げる。

「はるくん、そんな風にしたらパパ痛いよ」

そして膝に抱き、彼の頭に顔を埋める。
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