双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
お日さまのような香りを吸い込んでから、今胸にある思いを口にした。

「一緒にいるべきだって思ったの、……私たち」

自分を見つめる晃介の瞳が、揺れたような気がした。

「子供たちにとって晃介は大好きなパパなんだもん、そばにいるべきよね。晃介が来ない日は、ふたりとも本当に寂しそうなの。玄関のドアの前で待ってることもあるんだよ。このマンションだってはじめての場所なのにこんなにリラックスしてるのは、きっと晃介がいるからだと思う。パパのいる場所が安心できるところだって小さくてもわかってるのよ。……それに」

葵はそこで言葉を切って、沈黙する。ここから先の自分の思いを口にするのは、再会してからはじめてのことだ。

緊張で胸がドキドキと鳴っている。でもきちんと言葉にしておきたかった。

「それに……。私も……私も晃介と一緒にいたい」

言い終えてホッと息を吐く。

すると。

「葵……!」

名前を呼ばれると同時に抱き寄せられた。大きくて広い腕はお互いの膝にいる晴馬と悠馬も一緒に包み込んだ。

子供たちと晃介の温もりに葵はゆっくりと目を閉じた。

「晃介のそばが、私のいる場所なんだと思う。だから、ここにいさせてください。……ずっと」

葵の言葉に、晃介の腕に力が込もった。

晴馬が「あうー」と言ってもぞもぞとした。父と母の身体に挟まれて苦しくなったのだろう。
「悪い、痛かったか?」

晃介が腕を緩める。そして彼らを抱き上げて喜びを爆発させた。

「晴馬、悠馬、これからはずっと一緒にいられるんだぞ! 毎日遊べるからな」

心の底から嬉しそうな父親の気持ちが伝染したのか、あるいは背の高い彼に抱き上げられたことが嬉しいのか、ふたりはきゃっきゃと声をあげる。

「今日からここが晴馬と悠馬のお家だ。案内してやろう」

晃介はふたりを抱いたまま、ダイニングに向かって歩きだす。

「明日、ジャングルジムも持ってくるからな」

「あ、晃介……」
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