双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
誰にも知られないようにこっそり付き合っていたから言われなくて済んでいただけで、これが世間一般の見方なのだと現実を突きつけられたのだ。

『……こ、晃介さんと相談させてください』

 震える唇を励ましてどうにかこうにか絞り出した葵の言葉に、大介は首を横に振った。

『ダメだ。適当な理由をつけて今すぐに別れろ。病院もやめてもらう』

『そんな……!』

 葵は真っ青になった。

『それはできません。だって私……』

葵は白河病院付属看護学校を奨学金を使い卒業した。

卒業後、三年間白河病院で働けば返済不要になる契約だ。母子家庭で、進学するためにはそれしか方法がなかったからだ。

まだ半分の期間しか働いていないのに、今すぐにやめてしまったら、四百万円もの大金を一括で返済しなくてはならない。

『困ります!』

葵の訴えに、当然事情は把握しているであろう大介が狡猾な笑みを浮かべた。
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