双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
晃介の指が、そっと辿る。

「あっ……!」

シーツを握りしめて葵は甘美な刺激に耐えた。

「綺麗だ、葵。愛してるよ」

媚薬のような言葉を吐いて、晃介がそこに口づける。あとはもう、彼の思いのままだった。

「葵、葵……」

繰り返し名前を呼ぶ低い声音と、的確に弱いところを攻め続ける彼の手と唇に、葵はもうなす術がない。

絶対に逃げられない彼の身体の檻の中で、恥ずかしい声をあげ続ける。

気が遠くなるほどの長くて甘い時間の後、ベッドに身体を投げ出したまま、ぼんやりとする葵の汗ばむ頬にキスをして、彼がゆっくりと入ってくる。

——ひとつになった瞬間に目尻から雫が流れ落ちる。

狂おしげに眉を寄せる晃介の顔がじわりと滲んでゆく。

「葵……?」

晃介が、指で涙を掬い上げる。

葵は首を左右に振った。

「ち、違うの……、う、嬉しくて。もう二度と……こんな風に、あなたに抱かれることは……ないって思ってたから……」

自分を囲む逞しい腕も、胸を熱くする真っ直ぐな視線も、今自分の中にある愛おしい熱も、すべて一度は諦めたものなのだ。
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