双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
でもそこで晃介がなにかを思い出したように「ああ、でも」と言う。そして少し申し訳なさそうに口を開いた。

「……せっかく一緒にいられるのに申し訳ないけど、再来週から一カ月スウェーデンに行く予定なんだ。留守にして悪い」

「スウェーデン? 研修かなにか?」

尋ねると、晃介はしばらく沈黙してから口を開いた。

「俺の母が亡くなってるは知ってるよな? 脳腫瘍だったんだ。同じ症例の治療法がスウェーデンで始まって。それを、習いに」

「……お母さまと同じ症例?」

「うん。母自身はもうすでに亡くなっているから救うことはできないけど、同じ症例の患者をひとりでも多く救いたい。……俺が医師になった時、立てた目標のひとつなんだ」

彼の母親がすでに亡くなっていることは知っていたけれど、脳腫湯が原因だとは知らなかった。

だけどそれならば彼が脳外科医になったのは納得だ。

「晃介にとって大切な研修なのね」

呟くと、晃介が頷いた。

「ああ、今回、チームに加えてもらえたのは幸運だった。世界中の医師が希望していたからね。なんとか滑り込むことができてよかったよ。……一刻も早く日本に技術を持ち帰りたい」
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