双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
二年半前に対峙した際、怖くてまともに見られなかった大介の顔を真っ直ぐに見つめて葵は宣言した。

「私、晃介さんを愛しています。どう脅されてももう逃げません。私たちのことを、認めてください」
 
大介が、わずかに目を細めてしばらく沈黙する。

そして馬鹿にしたような笑みを浮かべて口を開いた。

「晃介がいれば四百万などへでもないということか、なんなら働く必要もないというところだろう。金のために子供まで生むなんて、なにも知らないような顔をして君は見かけによらずやり手だったというわけだ」
 
奨学金の返済について晃介に頼ろうなどと葵は思っていなかった。でも反論しても無駄だろう。
 
沈黙する葵に、大介がたたみかける。

「だがそれにしては、この件を君はまだ晃介に言えていないようだな。スウェーデンへ行く前に顔を見た際も、晃介なにも言っていなかった。そもそも私は晃介から君の話をまったく聞いていない。先日、誰かいい人はいないのかと尋ねたが、そんな相手はいないと言い切っていた」
< 132 / 188 >

この作品をシェア

pagetop