双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
薄ら笑いを浮かべ、さらに言葉を続けた。

「家柄のよくない看護師との結婚など私に反対されると思ったのか、あるいは周りに言いたくもない関係なのか……」
 
侮辱的な言葉にも葵は動じなかった。晃介が父親に言わなかったのは自分との約束があったからだ。
 
カレーをかぶって笑い合っていた晃介と子供たちの笑顔が胸に浮かぶ。どのような言葉にも揺らがない。

「晃介さんに言わなかったのは、私にも迷いがあったからです。でももう決めました。晃介さんがスウェーデンから帰ってきたら、お話ししようと思います。……私、晃介さんを信じます」
 
言葉に力を込めて言い切ると、大介が薄ら笑いをやめる。

「なるほど、晃介に愛されている自信があるとでもいうわけか。……くだらん」
 
不快そうに吐き捨てた。

「だがその愛とやら、どこまで信用できるのかな。私は私に刃向かうものはたとえ身内だとしても容赦はせん。息子だとしても、それは一緒だ」

チラリとドアを見た。

「さっきまでここにいた高梨君は、私の従妹の夫だ。身内になるわけだが白河病院時代、私の方針に逆らった。だから、白河病院(うち)にいられなくなった。わかるな? 晃介は今、白河病院の理事という地位にいる。脳外科内では外科部長に次ぐ位置にいるが、私に刃向かうならそれらをすべての役職からはずす。あいつは……今まで築いてきたものすべてを失うことになる」
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