双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
重苦しい空気の中、大介が口を開いた。

「山里政務官、こちらが谷本君です」
 
目の前のふたりに、葵を紹介する。山里政務官と呼ばれた男性が頷いた。

「この度は、息子が不始末をしでかしまて、大変申し訳ありません」
 
突然、大介が頭を下げる。
 
その不可解な言葉と行動に、葵は眉を寄せて彼を見た。

"息子の不始末"というのが、葵と子供たちの話だろうというのはなんとなく予想がつくものの、なぜ彼らに頭を下げるのかまったくわけがわからなかった。
 
視線に気がついた大介が、低い声で葵に言う。

「君も頭を下げなさい」
 
もちろん葵は言う通りにしなかった。だいたい相手が誰なのかも聞かされていない。
 
山里がため息をついた。

「頭を上げてください、白河先生。こちらが話を持ちかける前の話なのでしょう? 私どもは大ごとにするつもりはありません。晃介くんほどの人物なら、若気の至りくらいあって当然です。それは娘にもよく言って聞かせました」
< 142 / 188 >

この作品をシェア

pagetop