双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました

「そうだ。その犠牲を払う勇気がお前にはあるのか？」
　
残酷で冷酷な問いかけに、晃介が呟いた。

「まるで、人質を取ったかのように言うんですね」
　
そして静かな眼差しを父親に向けた。

「父さんこそ、それができるのですか？」
　
その問いかけを、葵は少し意外に思う。彼にしか救えない患者がいる中で、彼を病院から追い出す。できるからこそ、大介は彼に脅しをかけているのだろう。
　
やれるから言っているのだ。
　
そう言って笑うはず。
　
……でも大介は答えなかった。無表情で息子を見ている。
　
晃介が口を開いた。

「ストックホルム病院のセンター長と、帰国前日に俺がチームに加われた理由について話をする機会があったんです。日本中いや世界中の脳外科医がチームに加わりたいと切望する中、どうして俺が選ばれたのか……」

「……お前が日本一の優秀な脳外科医だからだ」
　
大介が口を挟む。
　
晃介は頷いた。

「もちろん、それもあるとおっしゃった。でももうひとつ決め手となったのは、俺のバックに白河病院の安定した資金力と最新設備を維持し続ける高い志があったからだと、センター長はおっしゃった」