双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
大介が嫌そうに顔をしかめた。

「年寄りあつかいするな」

「年寄りあつかいじゃなくて患者あつかいしてるんだよ。主治医としてはちゃんと脳が正常に機能してるか確認しないと」
 
どこか愉快そうにそう言って、悠馬からおもちゃを借りる。大介にわかるように左手に入れて拳を作った。

「どっちだ」
 
大介がムッとした表情のまま、晃介の左手をバシン!と勢いよく叩いた。

「いて!」
 
晃介が顔を歪めて、手を振った。

「……力も入るみたいだし、まったく問題ない」

「あたりまえだ」
 
仲がいいのか悪いのかまったくわからないやり取りに、葵は思わず噴き出してしまう。
 
孫をこれだけ可愛がるのだ。

息子のことだって可愛くないわけではないだろうが、そこはもういい大人だから、仲良しこよしというわけにはいかないようだ。

「こんな偏屈な患者ははじめてだ」
 
晃介が頭をかきながら、葵の方へやってくる。

「お、味噌煮込みうどん。手伝うよ」
 
そう言って笑顔になった。

さっき、今から帰るというメッセージを受け取っていたから晃介の分も用意してある。
 
双子と大介には柔らかく炊いて少し冷ましたものを。

晃介には大盛りを。葵の分も並べ終えて、リビングの三人に声をかけた。
「リハビリも順調だし、できたらそろそろ父さんにも復帰してもらいたいって高梨理事長がおっしゃってたけど、アドバイザー的な位置づけでもいいからって」
 
うどんを啜りながら晃介が大介に言う。
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