双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
息子の分を取り戻すように孫を可愛がる父親を好きにさせようと思ったのだろう。
　
すると今度は大介が、晃介に言いたいことがあるようで、箸を止めて口を開いた。

「それよりお前、結婚式はどうなってるんだ？　準備は進んどるんだろうな？　オペ続きだからといって、家庭を疎かにしてはいかんぞ」

「……年明けに決定しました」
　
晃介は答えるが、どこか釈然としない表情だった。

もちろん結婚式についてなにか不満があるわけではない。

＂仕事にかまけて家庭を疎かにしてはいけない＂と言われたことに対してだろう。
　
ついさっき、ほかでもない自分の口から、ひとつのことしかできんと言ったくせに……と思っているに違いなかった。
　
晃介からの返答に、大介が不満そうにした。

「年明けか……。どうしてそんなに先になんだ」

「今から予約を取るとだいたいそのくらい先になります」
　
晃介が説明するが、いまひとつ腑に落ちていないようだった。
　
その大介の反応を、葵はありがたく思った。
　
少し踏み込み過ぎのようにも思えるこの大介のこだわりは、実は葵の母を気遣ってのものなのだ。
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