双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
でもやっぱりふたりはまだ早かったようで、ゆっくりどころか猛ダッシュで突進したものだから、晃介が慌てて止めたのだ。
 
その後も何度か大介は双子におしえようと試みたが、結局最後は追いかけごっこのようになっていた。
 
そしてようやく大介も、まだ子供たちには無理だから年明けくらいがちょうどよいと、納得したのだ。
 
晃介がやれやれというようにため息をついた。

「今までほとんど関わってこなかったから、自分の親だけどどんな人かあまり知らなかったんだけど、あんなに口うるさい人だとは思わなかったよ。……葵は、大丈夫? 嫌なら無理に会いに行く必要はないんだぞ。子供たちとの交流は俺がなんとかするから」
 
晃介が心配そうに言う。
 
過去のこともあるからか、彼はいつも葵と大介のやり取りについては神経を尖らせている。

少しでも気にかかることがあれば、すぐに言ってほしいと常に言われている。
 
その気遣いをありがたいと思いつつ、葵は首を横に振った。

「私は大丈夫よ。確かに晃介に対しては……口うるさいなって思うこともあるけど。私には案外優しくしてくださるでしょう?」
 
やせ我慢でもなく葵は言った。
 
本当のところ交流をはじめた頃は、大介との関係がどうなるのかわからなくて不安だった。

過去は水に流して未来だけを見ていこうと思ってはいたものの、肝心の大介がどう思っているのかわからなかったからだ。
 
でも蓋を開けてみれば、その心配は杞憂だったとすぐにわかった。
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