双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
話の方向が変わったからか、晃介が首を傾げた。

「アルバムにまとめてもらうためのもの。お義父さんさっそく、生まれたばかりの時の分を見ていらしたんだけど……。見終えた後、私に謝ってくださったの」

「……謝った?」

「そう。君は小柄だから双子の出産は負担だっただろう。入院したのか、産後は順調だったのかって尋ねられて……」
 
そのあたりにまで考えがいたるのは、さすが元医師だ。

そしてひと通りのことを聞き終えたあと、大介は突然頭を下げたのだ。

「大変な時期をひとりで乗り越えさせたこと申し訳なかったって。……心細かっただろうって」
 
葵はびっくりてしまって、頭を上げてくださいとしか言えなかった。

「それから後、しばらく新生児の時のふたりの写真を見ていらしたんだけど、『抱きたかったな』と呟いていらしゃっていたから、次に生まれてくる子こそはって思ったんじゃないかな?」

話しながらじわりと浮かんだ目尻の涙を拭いて葵は言う。

晃介が葵を抱く腕に力を込めた。

「葵」

 そして、葵の肩に顔を埋めた。

「晃介?」
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