双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
少し意外な彼の反応に葵が首を傾げると、晃介がくぐもった声を出した。

「つくづく、父さんは間違ってたと思うよ」
 
彼の口から出た父親を責めるような言葉に、葵は慌てて声をあげる。

「晃介、私、そんなつもりじゃ……!」

「いや、そうじゃなくて。……父さんは、葵に俺には葵は相応しくないって言ったんだろう?」
 
三年前の話だ。

「……うん」

「逆だよ」
 
晃介が顔を上げた。

「葵は俺にはもったいないくらいの女性だよ。……可愛らしくて、強くて優しい清らかな心を持っている」

「え⁉︎ そ、それは、い、言い過ぎだと思う……」
 
唐突に褒められて、葵はびっくりしてしまう。

そう言ってもらえるのは嬉しいけれど、葵が彼にもったいないなんてこと、いくらなんでもありえない。
 
晃介が額と額をくっつけて目を閉じた。

「言い過ぎなんかじゃないよ。俺は葵に出会っていなければ、こんなに幸せにはなれなかった。両親のことも一生克服できなかった。……俺には葵が絶対に必要だ」
 
そう言って目を開き至近距離から葵を見つめた。

「葵の心が俺から離れていたとしても、葵が振り向いてくれるまで絶対に諦めないつもりだった。たとえ一生かかっても」
< 183 / 188 >

この作品をシェア

pagetop