双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
冷凍庫にストックしてある子供用のカレーを電子レンジで温めて、炊飯器からよそおったご飯にかける。

振り返ると、双子がキッチンの入口に設置してあるベビーガードにへばりついていた。

「あーま! あーま!」

お腹が空いているのだ。

「ゆうくん、はるくん、ちょっと離れてくれる? ママ出られないから」

言っても無駄だとわかりながら、葵はふたりに声をかける。

そして柵に手をかけた時。

「座って待ってようか」

彼らの後ろから晃介が優しく言って、ふたりいっぺんに抱き上げた。

そしてテーブルへ行き一旦下ろしてから、ひとりずつベビーチェアへ座らせる。

ふたりともいったいこの人は誰だろう?と思っているに違いないけれど、おとなしく言うことを聞いていた。

晃介に納得して帰ってもらうために、葵はとりあえず彼を家に上げた。

もちろん玄関先で少し話をしたらすぐに帰ってもらうつもりだったが、双子がそうさせてくれなかった。

家に入った途端にキッチンの柵をガチャガチャとして「あーま! あーま!」とコールしたはじめたのである。

もう五時を回っているし、公園で散々遊んだからお腹が空いているのだ。
 
"話があるからちょっと待ってね"なんてまったく通じないふたりに、葵が困っていると、先に夕食を食べさせてやればいいと晃介に提案されたのである。

こういう時のために冷凍庫にはたくさんの作り置きがストックしてある。

とてもじゃないけれど、落ち着いて話ができる状況になかったため、葵は素直に頷いた。
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