双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
「もちろん方法は、君の意見を最大限尊重して決める。あの子たちをここまで育てた君が、一番いい方法を知っているだろうから。これからはあの子たちの父と母として協力関係を築くんだ」

そう言われては、母親として拒否することはできない。

母親としては子供たちのことを一番に考えるべきなのだから。父親がいない家庭で育ち、進学に苦労した葵だからこそ、そう強く思う。

晃介が父親として支援し、愛情を注いでくれるなら彼らにとってはいいことに違いない。

「……少し、考えさせて」
 
でも今はこれが精一杯だった。昨日今日でがらりと変わった状況にまだ頭がついていけていない。

「気持ちの整理がついてなくて……」

「ああ、もちろんいいよ」
 
晃介がゆっくりと立ち上がった。
 
今夜出せる結論は出た。帰るつもりなのだろう。
 
連絡先を交換し、玄関で靴を履く彼の背中に、葵は思わず声をかける。

「晃介……。ごめんね」
 
言わずにはいられなかったのだ。
 
突然姿を消した自分を恨んでいてもおかしくはないのに、彼は内緒で生んだ双子を受け入れてくれた。

今だって葵の言動には不可解なことだらけだろうに、追求しないでくれている。
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