双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
父、白河大介から実家に来るようにというメッセージを受け取ったのは、葵と会った次の日だった。
当日は夕方までの勤務でスケジュールに支障はなかったが、晃介にとっては憂うつな呼び出しだった。
用件についてだいたいの予想がついていたからだ。
親子といえども成人してからは別々に住み、普段はめったに言葉を交わすこともない父は、晃介がリビングに足を踏み入れるなり切り出した。
「理事の枠に空きが出た。後任はお前だ。来月三十五だろう。そろそろ経営の方にも興味を持って力を入れろ」
三十を超えた頃から親子の会話といえばこれだった。父は医師ではあるが、病院経営を主にしていて、現場に立つことはもはやない。
それが白河家に生まれた者の使命だと昔からよく言っていて、晃介も同じ道に引き入れようとしている。
「手続きはしておいたから、次の社員総会で承認される。外科部長には、お前の業務を減らすように言っておく。再来月のスウェーデン研修に向けてその件だけに集中して外来からは外れろ」
その言葉に晃介は思わず眉間に皺を寄せた。
父の生き方を否定するつもりはない。病院はボランティア事業ではないのだから、経営が成り立たなくては患者を救うことはできない。
だからといって父のように現場をすべて手放すという選択肢は晃介にはなかった。
本棚に飾ってある亡き母の写真をチラリと見て、口を開く。
当日は夕方までの勤務でスケジュールに支障はなかったが、晃介にとっては憂うつな呼び出しだった。
用件についてだいたいの予想がついていたからだ。
親子といえども成人してからは別々に住み、普段はめったに言葉を交わすこともない父は、晃介がリビングに足を踏み入れるなり切り出した。
「理事の枠に空きが出た。後任はお前だ。来月三十五だろう。そろそろ経営の方にも興味を持って力を入れろ」
三十を超えた頃から親子の会話といえばこれだった。父は医師ではあるが、病院経営を主にしていて、現場に立つことはもはやない。
それが白河家に生まれた者の使命だと昔からよく言っていて、晃介も同じ道に引き入れようとしている。
「手続きはしておいたから、次の社員総会で承認される。外科部長には、お前の業務を減らすように言っておく。再来月のスウェーデン研修に向けてその件だけに集中して外来からは外れろ」
その言葉に晃介は思わず眉間に皺を寄せた。
父の生き方を否定するつもりはない。病院はボランティア事業ではないのだから、経営が成り立たなくては患者を救うことはできない。
だからといって父のように現場をすべて手放すという選択肢は晃介にはなかった。
本棚に飾ってある亡き母の写真をチラリと見て、口を開く。