双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
先週の土曜日に、葵が彼に『考えさせてほしい』と告げたことを言っているのだ。

まだ考えがまとまっていなくて、葵ははっきりとした答えを出せていない。

もちろん母親として助けてほしいことはたくさんあるし、双子には愛情を注いでほしい。でもやっぱり白河大介にこの件を知られるのが怖かった。

葵の知る限り晃介と父親の関係は、あまりいいとはいえない。

同じ病院に勤めていながら別々に住んでいたし、付き合っていた頃から彼は不自然なくらい家族の話をしなかった。

なによりも父親である大介が晃介の意思をまったく無視して葵に別れを迫ったことが、それを物語っている。

だからすぐにこのことが、バレるとは思えない。

でもなんといっても親子なのだ。ずっと秘密にしておけるわけがない。

それなのに晃介と双子の交流を安易に増やしてもいいものか、判断がつかなかったのだ。

「ちょっといろいろ考えてて……。そんなにすぐに決められないよ。まだ一週間しか経っていないのに」

言い訳をするようにそう言うと、晃介が肩をすくめた。

「でも、子育ては待ったなしだろう? この前カレーをかぶってよくわかったよ。だから休みの今日、葵が疲れてるなら少しでも休めるようにって思って来たんだけど」

「疲れて……。そ、それは……まぁ、そうだけど。でもそんなにわけにはいかないわ。子供の面倒をみるのって簡単じゃないのよ。人見知りもするだろうし」
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