双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
「先生……?」
ハッとして、彼は再び口を開いた。
「あ……いえ、すみません。傷が少し深いですから、縫う方がいいと思います。その方が治りが早いし、バイ菌も入りにくい」
「……お願いします」
葵が言うと、頷いて準備を始める。
「お母さんは外で待っていてください。もうひとりの僕ちゃんもいることだし」
看護師がテキパキと彼を手伝いながら葵に言った。
おそらく我が子に針を入れるところを見て葵が動揺しないように、という気遣いだ。
本当のところ看護師である葵にその気遣いは無用だが、腕の中の悠馬のことを考えて、葵は素直に頷いた。
診察台の晴馬に「大丈夫だからね」と声をかけてから診察室を出る。
そのまま椅子に座り治療が終わるのを待った。
怖い思いをしているであろう晴馬に対する申し訳なさと、絶対に会ってはいけない相手と突然会うことになってしまった驚きで、頭の中がぐちゃぐちゃだった。
「ねぇ、これ見て。白河病院所属の白河晃介(しらかわこうすけ)先生ってことは、医院長の関係者だったりするのかな?」
「そうじゃない? それにしてもイケメンだった。看護学校の時の友達が白河病院で働いてるんだ。今度聞いてみよっと」
患者が少ないからか、受付の向こう側ではまだ噂話が続いている。
今日の担当医の当番表らしきものを見ながらあれこれと話していた。
彼女たちの疑問に対する答えを葵はすでに知っている。
今診察室にいるのは、白河病院の医院長のひとり息子で国内屈指の脳外科医、白河晃介。
二年半前まで、白河病院に勤めていた葵の恋人だった人物で、息子たち晴馬と悠馬の父親だ。
ハッとして、彼は再び口を開いた。
「あ……いえ、すみません。傷が少し深いですから、縫う方がいいと思います。その方が治りが早いし、バイ菌も入りにくい」
「……お願いします」
葵が言うと、頷いて準備を始める。
「お母さんは外で待っていてください。もうひとりの僕ちゃんもいることだし」
看護師がテキパキと彼を手伝いながら葵に言った。
おそらく我が子に針を入れるところを見て葵が動揺しないように、という気遣いだ。
本当のところ看護師である葵にその気遣いは無用だが、腕の中の悠馬のことを考えて、葵は素直に頷いた。
診察台の晴馬に「大丈夫だからね」と声をかけてから診察室を出る。
そのまま椅子に座り治療が終わるのを待った。
怖い思いをしているであろう晴馬に対する申し訳なさと、絶対に会ってはいけない相手と突然会うことになってしまった驚きで、頭の中がぐちゃぐちゃだった。
「ねぇ、これ見て。白河病院所属の白河晃介(しらかわこうすけ)先生ってことは、医院長の関係者だったりするのかな?」
「そうじゃない? それにしてもイケメンだった。看護学校の時の友達が白河病院で働いてるんだ。今度聞いてみよっと」
患者が少ないからか、受付の向こう側ではまだ噂話が続いている。
今日の担当医の当番表らしきものを見ながらあれこれと話していた。
彼女たちの疑問に対する答えを葵はすでに知っている。
今診察室にいるのは、白河病院の医院長のひとり息子で国内屈指の脳外科医、白河晃介。
二年半前まで、白河病院に勤めていた葵の恋人だった人物で、息子たち晴馬と悠馬の父親だ。