双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
晃介が目を細めて駆け寄ってきた晴馬を抱き上げた。

「抜糸できたんだな。もう痛くないだろう?」

さっそく悠馬の傷を確認して、優しく声をかけている。

背の高い晃介に抱かれると視線が高くなってワクワクするのか、晴馬がにこにことした。するとそれを見ていた悠馬の方も出ていってしまう。

「あ、ゆうくん!」

 気がついた晃介が悠馬も抱き上げた。

「悠馬、おもしろい寝ぐせがついてるぞ?」


軽々とふたり一緒に抱く姿に、葵の鼓動がとくんと跳ねた。

晃介が葵に視線を戻した。

「ごめん、話が途中になったな。えーと、なんだった?」

よく似た三人が笑い合う姿に心奪われてしまっていた葵は、そう言われてハッとする。

「えーと……」

慌ててさっきまで言おうとしていた言葉を思い出した。

「子供たちが心を許した人でないと面倒はみられないっていう話……」

でもそこで晃介に抱かれるふたりを見て口を閉じた。

人見知りをするどころか、ふたりともすごく嬉しそうだ。

「……」

「葵?」

急に黙り込んだ葵に、晃介が首を傾げる。その晃介の腕の中で双子が不思議そうに大きな目をパチパチさせた。

葵は周りを見回して誰もいないことを確認してから口を開いた。

「……なんでもない。とりあえず中に入ってくれる?」
< 41 / 188 >

この作品をシェア

pagetop