双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
晃介を家を入れた後、葵はすぐに朝食の準備に取りかかった。

メッセージを入れたからといっても返信もないのに家に来た晃介に、言いたいことはあるけれど、ゆっくり話している暇はない。

彼がさっき言った通り子育ては待ったなしだ。

パンとスクランブルエッグ、りんごを載せたプラスチックの皿をふたりの前に並べる。

「じゃあ、いただきますしような」

晃介がどこか弾んだ声でふたりに言った。

晴馬と悠馬は小さな手をパチンと合わせ、すぐに目の前のパンを手に取りかぶりついた。

「パン好きか? りんごうまそうだな」

そう言いながら双子を見守る彼は、今日は並ぶ双子の中央に座っている。

先週のカレー事件を教訓にそうした方がいいと思ったようだ。

夢中で食べる双子に手を出しすぎず、でも無理そうなところは手助けをしてまだ二回目なのに、すっかり要領がわかったようだ。

考えてみれば彼は医療業界でもトップクラスの優秀な外科医なのだ。

やろうと思えばたいていのことはそつなくこなすことができるのだろう。

しかも手先の器用さは普通の人とは比べ物にならない。

晴馬の口から垂れたスクランブルエッグをお箸で口に入れるのも安心して見ていられた。

双子がご飯を食べはじめたのを見届けて、葵は自分の分の朝食と彼に出すためのコーヒー準備する。

なんだか変な気分だった。
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