双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
食器を片付けて、テーブルを拭きながら葵はリビングをちらりと見る。
 
真ん中を陣取るのは室内用のジャングルジムだ。

よじのぼるの晴馬と悠馬のすぐそばで晃介が見守っている。
 
朝食の後、晃介がお土産に買ってきた大好きなヨーグルトをもらったふたりは大興奮でそれを食べた。

そしてそのまま三人で遊びはじめたのである。

滑り台を踏切りみたいに腕で塞いだり、一番上まで登れたと手を叩いて褒めてくれる晃介に双子はきゃあきゃあ声をあげて、実に楽しそうだ。

テーブルを拭き終えて布巾を流しへ持っていき、葵はそのまま食器を洗いはじめる。

そんな何気ないこともどこか新鮮だった。

いつもなら双子の世話で食器洗いは後回し。彼らが寝た後に疲れた身体を引きずるようにして、一日の分をまとめて洗うのに。

「今日はなにか予定があるのか?」

晃介に尋ねられて、葵はうーんと首を傾げた。

「これといってべつに予定はないけど」

たいていそういう日は、午前中に溜まった家事を済ませて、昼ごはんを食べた後公園へ行く。その後、スーパーへ寄って帰るのだ。

葵はそれを彼に告げる。そしてため息をついた。
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