双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
自分との別れが関係しているのだろうか……。

晃介はデスクに戻り、電話の受話器に手を伸ばす。経理上の記録を調べれば、奨学金が返済されているかどうかくらいはわかるだろう。

でもそこで、電話が鳴って手を止める。

モニターに表示された番号は理事長室、すなわち父からだった。

「はい」

《晃介、いたのか。携帯に電話したんだが》

「夜勤明けで今終わったところです。どうかしましたか?」

直接話をするのは理事になれと言われた日以来だ。

《来月三十日なんだが、空けておいてくれ。お前に会わせたい方がいる》

「……会わせたい方?」

 晃介は眉を寄せて聞き返した。

《ああ、厚生労働大臣政務官の山里さんだ。お前が理事になったと話をしたらぜひ会いたいとおっしゃってくださっていてね》

厚生労働省の役人との付き合いは父が最も力を入れていることのひとつだ。

曰く、白河病院が国内屈指の最先端医療を担うために欠かせないのだという。

理事になった晃介に引き継がせようとしているのだろう。

正直言って面倒臭いのひと言だ。だが、理事になった以上避けて通れないことでもある。

「……わかりました」
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