双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました

ドライヤーの思い出

温かい湯船に顎まで浸かり、葵はゆっくりと目を閉じる。

一日働いて疲れた身体がじわりとほぐれていくのを感じた。こんなことができるのも、晃介がいてくれるからだ。

彼が来てくれる日は、夕食後、葵は子供たちと一緒にお風呂にはいる。

子供たちの身体を洗って脱衣所に送り出せば晃介が彼らの身体を拭いてパジャマを着せておいてくれる。

葵はその後いつもより少しだけゆっくりと自分の身体と髪を洗うことができるのだ。

夕食のうどんを食べた後、今夜も葵は子供たちとお風呂に入った。
今日はシャンプーの後、久しぶりにトリートメントを使うことができたのが嬉しかった。

トリートメントをしないとクセのある葵の髪はすぐにボサボサになってうまくまとまらないからだ。

十分に身体が温まってから葵は浴室を出る。脱衣所でパジャマを身につけて髪をタオルで拭きながらリビングを覗くと、晃介がパジャマ姿の双子にドライヤーをかけていた。
 
ここ一週間で気温がぐっと下がり本格的な冬に突入した。髪が湿ったままでは風邪をひくと思ったのだろう。

一歳半にしては量が多いふたりの髪は夏ならともかく冬はタオルドライでは心もとない。

父親としてはまだ新米といえる彼だけれど、こんなところはさすがだと葵は思う。

外から帰ってきた時の手洗いうがい、怪我をしそうな場面など、こんな風に双子の体調管理について特に言わなくても気を配ってくれる。さすがは医師だ。
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