双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
晃介がそんなことを言うものだから思わず振り返ってしまう。

「え? トリートメントいらず?」

 興味をそそられる言葉だった。

「ああ"くせ毛もふんわりまとまる、髪本来の美しさへ"だって」

「くせ毛がまとまる……」

そう言われては確認せずにいられなくて、歩み寄り彼が持っているドライヤーを見る。

それはほかのものとはまったく形が違っていた。

取手の先がドーナツ型になっていてそこから風が出てくる設計だ。

確か同じような形のファンが大ヒットしているような……。

「このシリーズ、ドライヤーもあるんだね」

葵が言うと、晃介がスイッチを入れる。
なにもないはずのドーナツの真ん中から風が出てくるのが不思議だった。

「風の温度が調節できるんですよ」

メーカーの名前の入ったジャケットを着た店員が話しかけてきた。

「熱くなりすぎないから、小さなお子さんがいらっしゃるご家庭にぴったりです。しかも髪質に合わせて風の種類が変えられるんですよ」

渡されたパンフレットを開くと、そこにはさらに心惹かれるワードが並んでいる。

"特許取得、高温から髪を守る設計。髪質に合わせた風を選択できます。ツヤのある滑らかな髪へ!"
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