双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
代わりにカチャカチャというブロックの音と、カンカンカンという踏切の音が鳴っている。

昼間に彼に買ってもらった新しいおもちゃで遊びはじめたようだ。

晃介がフッと笑って、耳への愛撫を再開した。

「ここまで計算したわけじゃないんだけど」

「んっ……!」

「葵、こうされるのは……嫌?」

切ない響きを帯びた彼の声音に、葵は身体を震わせる。

高鳴る鼓動が加速する。

「い、嫌じゃないけど……!」

「ならやめない。ずっとこうしたくてたまらなかったんだ。葵の髪は俺にとって特別なのに、触ってそれで終わりなんて……頭がおかしくなりそうだった」

鏡ごしに自分を見つめる彼の瞳は、獰猛な捕食者のそれだった。

そんな彼も二年半ぶりだ。

「葵は平気だったのか?」

「わ、私……」
 
本当のことを、言えるはずがなかった。

もちろん葵だってその先がほしくてたまらなかったけれど、それを望むのは許されない。彼への罪をまだ告白できていないのに、愛情だけがほしいなんて。

「私は……」

答えられずに口籠ると、晃介がわずかに目を細めた。

次の瞬間、彼との位置が反転し、優しく壁に押し付けられる。

突然のことに目を閉じて、開いた時には左右についた彼の腕の檻に閉じ込められていた。
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