双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
決意の朝

ひとつ前へ

「あら、はるくん、ゆうくんいいおもちゃがあるじゃない」

自宅のキッチンでお茶を淹れていた葵は、双子たちに話しかける母の言葉にドキンとした。

「楽しそうね、ふふふ」

子供たちに笑いかける母が持っているのは晃介が買ってくれたブロックだ。

すぐ近くに電車のセットも散らばっていた。

母親と葵の休みが重なったこの日、母が自宅を訪れた。

通院しながら近くのスーパーで働いている母と葵の休みはあまり合わないけれど、その分重なる日は必ず会うことにしているのだ。

久しぶりに来た母は、晃介に買ってもらった真新しいおもちゃにすぐに気がついた。

「いいの買ってもらったねー。これで雨の日も退屈しないでしょ?」

母がふたりに話しかけるのを聞きながら、葵は気まずい思いでお茶をテーブルに持っていく。

晃介がこのマンションに来ていることを、まだ話してしなかった。

そもそも母は、彼らの父親のことについてはなにも知らない。

妊娠がわかった時、もちろん尋ねられはしたが、葵はなにも言わなかった。

それに納得したわけではないだろうけれど、仕方がないと諦めたようだ。

「クリスマスプレゼント?」

双子たちがおもちゃで遊びはじめたのを確認して、ダイニングテーブルに母が座る。
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