双子を極秘出産したら、エリート外科医の容赦ない溺愛に包まれました
「晃介くんといったかな。山里です。お父さんからよく話は聞いているよ。理事就任おめでとう」

「ありがとうございます」

不審に思いながらも晃介は山里と名刺を交換する。

すると山里が隣の女性を紹介した。

「こっちは娘の美雪(みゆき)だ。以前医療関係のチャリティーパーティで君を見かけたと言っていてね。今日お会いすると話したらついて来てしまったんだよ」

はははと笑う政務官の隣で、女性が控えめに微笑んだ。

「美雪です。よろしくお願いします」

「……こちらこそ」

答えながら晃介はチラリと父を見る。相手が仕事の場に娘を連れて来ているというのに、少しも驚いた様子がない。

おそらく事前に知らされていたのだろう。

晃介の頭に血が上る。

どういうことだと問いただしたい衝動に駆られるが、目の前に政務官と娘がいる以上できなかった。

そのまま四人はそこで昼食をともにする。表向き会食は和やかに進んだ。

晃介は気持ちの悪い感情を飲み込んで、あたりさわりのない受け答えをした。
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