純×恋(じゅんれん)
壁に背を預け,床にすわっていた純の肩を遥はトンっと押す。
異変を感じて顔をあげた純の顔に,遥は大きく影を作っていた。
じわじわと純が目を見開く。
それを見て,遥はくすくすと意地悪げに笑った。
「きいとちゃん,ホントに俺のタイプど真ん中。去年から思ってたんだよね~俺」
そんなの,知りません。
乾いた喉からせり上がっては落ちていく。
状況を飲み込めない純に,遥は更に迫ろうとした。
「ブザーがなりますよ!!!!!」
両膝をぎゅっとくっつけて,目を瞑った純が叫ぶ。
相手も驚いて,ぴたりと止まった。
触れられたく,ない。
だけど,それよりも。
純はその距離に至るのを,人に知られたく無かった。
何より,恋に伝わって欲しくなかった。
ただでさえ近い今,あと数センチ動けばブザーは寮全域に鳴り響く。
「減点,ですよ! 遥くん。遊びはそこまでにしてください」
分かってる。こんなのきっと悪ふざけ。
遥は透けて見えるような純の思考を読み取り,また苦笑した。
「減点は……困るな。まゆゆに怒られちゃう」
可愛い語感でパートナーの名を呼びながら,遥は両手を挙げて降参する。
「あ,きいとちゃん。今さっき買ってきたプリン食べる?」
そして
「さっきほんとはそれ聞こうと思ったんだよね~」
と調子のいい遥は純に尋ねた。
純はとっくに遥の話など聞いていない。
(あとみっか)
純は混乱でばくばくと鳴る心臓を抑えて,ゆっくりと深呼吸をした。
ー恋くん,大丈夫かな……
結果としてこの出来事は,純の不安を一層煽ることとなったのだった。
異変を感じて顔をあげた純の顔に,遥は大きく影を作っていた。
じわじわと純が目を見開く。
それを見て,遥はくすくすと意地悪げに笑った。
「きいとちゃん,ホントに俺のタイプど真ん中。去年から思ってたんだよね~俺」
そんなの,知りません。
乾いた喉からせり上がっては落ちていく。
状況を飲み込めない純に,遥は更に迫ろうとした。
「ブザーがなりますよ!!!!!」
両膝をぎゅっとくっつけて,目を瞑った純が叫ぶ。
相手も驚いて,ぴたりと止まった。
触れられたく,ない。
だけど,それよりも。
純はその距離に至るのを,人に知られたく無かった。
何より,恋に伝わって欲しくなかった。
ただでさえ近い今,あと数センチ動けばブザーは寮全域に鳴り響く。
「減点,ですよ! 遥くん。遊びはそこまでにしてください」
分かってる。こんなのきっと悪ふざけ。
遥は透けて見えるような純の思考を読み取り,また苦笑した。
「減点は……困るな。まゆゆに怒られちゃう」
可愛い語感でパートナーの名を呼びながら,遥は両手を挙げて降参する。
「あ,きいとちゃん。今さっき買ってきたプリン食べる?」
そして
「さっきほんとはそれ聞こうと思ったんだよね~」
と調子のいい遥は純に尋ねた。
純はとっくに遥の話など聞いていない。
(あとみっか)
純は混乱でばくばくと鳴る心臓を抑えて,ゆっくりと深呼吸をした。
ー恋くん,大丈夫かな……
結果としてこの出来事は,純の不安を一層煽ることとなったのだった。