純×恋(じゅんれん)
(……あと2日)

恋は毎日,気付けばスマホで日にちを確認していた。

夕飯だと声がかかって,個人スペースから下りる。

純は何してるかな。

考えながら下りると,そこにはエプロン姿の真優が仁王立ち。

遅い,という思念を受けて,恋は少しだけ歩を早めた。

それぞれで配膳をし,静かな挨拶で食事が始まる。

既に出来ている献立を見て,恋は表情に出さないもののうっと思った。

恋はにんじんが苦手。

にも関わらず,真優の『ピーマンの肉野菜炒め』にはにんじんが鎮座していた。

七海学園に入学してから,この野菜と対面したのは1度だけ。

それは,純が初めて夕飯にカレーを作った時だった。

恋の反応に微かな違和感を覚え,目を凝らしていた純が,以降にんじんを出さなくなったことにも気づいている。

(また,純のこと)

依存していたつもりはない。

けれど,恋の思考を純は意図も簡単に埋め尽くしていた。



「食事中くらい,そのぼーっとするのやめなさいよ」



もう一度手を合わせ,食事を始めた恋に真優が不機嫌そうに箸を置く。



「? 何の話?」



何と無しに視線だけ向けると,真優は一層ムッキーッと感情的に怒った。

分かりやすいと恋は思う。



「それ,それ,それ!! ドライすぎるのよあんた! 同級生の異性と同居中とは思えない! 可児純(かに きいと)には優しいくせに!」
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