純×恋(じゅんれん)
声を出しそうになりながら瞳をパチリと開けると,そこにいたのは純のペアとなった(れん)

(びっくりした……)

数秒黙ってルックスのいい恋を見つめていると,恋がふと困ったように眉を寄せる。



「何か,考え事?」

「恋くん,おかえりなさい」



純はパチパチと瞬きをして,落ち着いた声を出した。

もう一度人差し指で,今度は眉のあたりにトンっと置かれる。

純は友達の部屋に遊びに行っていたと思われる彼の落ち着く声を聞いた。

そしていけないと自分の眉間を軽く揉む。



「きいとも何か飲む?」



疲れてるなら,と恋に提案され,純は大丈夫と頭を横にふるふると振った。

可もなく不可もない関係で,恋はいつもそこにいる。

純はまた無意識に,むむむと考え込んだ。



「あの……」

「なに?」



キッチンへ向かおうとした恋を,つい引き留める。

次に来る言葉を見つけ出せなかった純は「いえ」と言葉を取り下げた。

そこまで言われると気になる。

恋は決してそんな言葉を使う人ではない。

今もまた,ふぅんと,そうなんだと受け入れて純に背を向けた。

(私,変なの)

伝えたいこともないまま声をかけた自分を,純は不思議に思う。
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