純×恋(じゅんれん)
「例えば,何?」



マグカップを自身の勉強机にコトリと置く。

恋は現状に不満がない。

純と出会った当初も,こんなものかと思っていた。

だからこそ,今更その様な事を言われて,恋は困惑する。

それでも恋が取り合うと,純は目に見えてホッとした。



「今,私達の目の前にはたった2つの選択肢があります」



そしてハキハキと,そう語り始める。



「結婚科か,普通科か」



考えなかったわけではない。

2人1組で成立しているから。

けれどはっきり告げられて,恋はどきりとした。

純が離脱すれば,最悪奇数となってしまうし,今更他の人間とやっていくのも難しい様に感じる。



「でもそれを決めるのに,私達はお互いを知らなすぎます」



純は息をすっと吸った。



「恋くんは,夫婦の卵(ゴールデンカップル)を目指すつもりがありますか? 私と,結婚できますか? 私には,どちらも無いように思えます。恋くん,恋くんは何故この学校を選んだのですか?」


目を逸らしたくなるのに,真っ直ぐな純の瞳は,不思議と居心地の悪さを感じさせない。

こんな風に話すことがあるとは,思ってもいなかった。
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