世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
3章

1

人感センサーが反応して玄関に光がついた。
 ただいまーと声出すが誰も返事しない。
 鞄からスマホを取り出して、通知欄を見るが母と連絡つかない。
 依田陽鞠はスマホをカバンに入れて、舌打ちしながら自分の部屋に向かう。
 病院に来るとしかとこの耳で聞いたのに。
 叔父の前でキャラが変わったかのように、はい、行きますと嬉しそうに。
 しかし待てど暮せど一向に来る気配がなかった。
 面会終了の17時になってもだ。
 その間に何度も連絡したのに、メッセージアプリでも送ってる。
 返事はないし、寒い中病院の正面玄関で電話しても『ただいま電波のつながらない所に……』と返ってきた。
 一体どこにいるんだ。父が心配じゃないのか!
 怒り任せに学校の鞄をベッドに投げつけたくなるが、ここは、制服にしよう。
「ほんとありえない!」
 このやり場のない怒りをどこに向ければいい?
 母は一体何してるんだ?!
 これからまた塾に行かないといけないので、制服から学校指定の紫色のジャージに着替える。依田とがっつり白色で刺繍されている。
 陽鞠は白桜学院(はくおうがくいん)という中・高一貫の女子校に行くはずだったが、受験に落ちてしまい、結花の地元である春の台中学校にいくことになった。
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