世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!

2

 冬の朝は何でこんなに起きるのに億劫にさせるんだろう。
 まだ寝ていたい。ベッドから出たくない。
 ベッドの後ろに充電しているスマホからやかましくアラームが鳴っている。
 結花はスマホを充電コードから外して、時間を確認する。朝の7時半だ。
 ロック画面には母からの連絡があった。今からお手伝いの柿本さんを連れて行くと。
 起き上がると隣には夫がいない。
 そうだ入院したんだっけ。これから退院させないと。
 結花は急いで洗面台の所へ向かい、入念にスキンケアする。
 何で起こしてくれないんだ、うちの母はと朝から不機嫌モードになる。
 スキンケアも高い化粧水や乳液をパックをつけても、化粧ノリが微妙だ。
 あーもう、なんでこんな時に限って!
 結花はムスッとしながらリビングに向かった。
 すでに母の周子とお手伝いの柿本が朝食の準備をしていた。
「あら、結花ちゃんおはよう。今柿本さんがフレンチトースト作ってくれるからね」
 キッチンでは手際よく柿本が銀色のボウルに人数分の卵やホットケーキミックスを入れて作っていた。
「えー、フレンチトースト? ま、いいや」
 結花は既にダイニングテーブルに置いてあるコーヒーが入ったカップを手にする。
「昨日さ、あの人職場で倒れてさ、今入院してるの」
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