世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「まぁ、大変ねぇ。結花ちゃん大丈夫?」
「お金ないと困るから今日にでも無理やり退院させようかと思ってる。だってお金ないと困るじゃん。それに陽鞠も今日学校休むって言っててさー。ほんとわがまますぎる! これから連絡しないと……てか担任嫌いだからしたくない。なんであの女に連絡しないといけないの? 休むのなんて適当でいいじゃん」
 春の台中学校の欠席の連絡は原則保護者からで、しかも八時までにしないといけない決まりになっている。
 だから保護者が欠席の連絡をしなかったら、無断欠席になってしまう。それはそれで辛い。
 結花は陽鞠の担任を見下している。
 自分より格下の家の人に、なんでわざわざ欠席の連絡を自分からしないといけないのか理解できないと。
「そうねー。いいんじゃない。しなくても。もし何かあったらお母さん呼んでいいから」
「うん。じゃお願い。……さすがに今日あの人の様子見しないとまずいよね?」
 仏頂面でため息をつく。
「確かにねー。じゃぁ、お母さんも一緒にいくわ。また依田家に借りを作らせよう。そしたら結花ちゃんの言うこと何でも聞いてくれるでしょ」
 柿本は出来上がったフレンチトーストを載せた丸い白皿を持っていく。
 相変わらず陰険な母娘だと。
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