世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 今日は久しぶりに高校入試の過去問をやってみた。
 地元の数学の問題は俺の時と変わらず難しい。
 来年は娘がこれをやることを考えて、今から勉強せねば。
 妻はどうしているか心配だが……。

 昨日のことを書いた後は、クイズ式のアプリゲームをする。
 もう寝れないなら、いっそのこと頑張って起きよう。

 ――レジなどで支払いに使われる……カルトン!

 ――粒の大きさによって、大納言……小豆!

 問題を最後まで言い切る前に答えるのは難しい。
 色々出題の仕方にパターンがあるから。
 まだまだ七割しか答えられてない。高校時代より落ちてることを実感した。
 ゲームに夢中になっていたら、インターホンが鳴った。
 インターホンのモニターを確認すると、兄夫婦がやってきた。
 兄は黒のスーツにねずみ色のネクタイにとビジネススタイルだが、兄嫁は青のアンクルパンツに白のセーターだ。
 そそくさと玄関まで出迎えると、兄嫁が紙袋片手に「これどうぞ」と渡した。
 中身はインスタントの食事類やペットボトルのお茶数種類。
 兄嫁か髪を短くしているのか、顔筋がはっきり見える。
 凛々しい顔つきだが中身は穏やかだ。
 妻と正反対のタイプ。
「いいんですか?! わるいねー。さぁ入って」
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