世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
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11時頃になると買い物客が賑わう、
店内は流行りの曲がけたたましく流れたかと思いきや、スタッフを業務の呼び出しのアナウンスが流れたりと、やかましい。
せっせとカートや籠を片付ける人、ピークに合わせてレジ打ちに入る人……。
結花は普段いくお店とは違うジャンルということもあり、顔をしかめていた。
「ここが、鮮魚コーナ……駐車場側に近いドアのあたりに、野菜があるでしょ……それから……」
野崎の話を上の空で聞く結花は、男性スタッフに好みがいないか狙いを定めるが今の所いない。
先程目をつけていた男子高校生の姿がない。
内心舌打ちしながら、野崎の後ろについていく。
それそろ12時近いし、かえっていいよね?
「依田さん、何かご質問ありますか?」
惣菜コーナーで足を止めた野崎。いきなり質問されて、結花は「あの、野崎さんって既婚者ですか? 彼女いない人っていますか」と尋ねる。
「……今は関係ないことですし、お答えする義理はございません。プライベートのことをいきなり聞くのは失礼でしょう。先程も人事部長に言われたでしょう」
期待はずれと言わんばかりにやれやれとため息つく。
「なによ。質問ぐらい答えてよ。ハゲの癖にキッショ!」