世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「業務のことならともかく、今はそういう話をする関係でもないでしょう。見た目を直接貶すのは失礼じゃないですか?」
 見た目のことを言われ、野崎は呼吸を整える。
 なんなんだ、この人。
 お嬢様育ちって聞いてたけど、ほんとどこがだよ。
 成金の間違いじゃないか?
 いつだったかネットで、お上品な貶し方みたいな内容が話題になっていたが、遠回し過ぎて分からなかった。あれとは正反対。火の玉ストレートすぎる。
 結花はフンとそっぽ向いて「なんなのよ、ケチっ!」とアピールする。
 今時そういうこといきなり聞いてはいけないって、教わってないんだろうな。下手するとセクハラ案件だよ。
 色々な意味で時代に取り残されたのかもしれない。
 ニュース見ないって言ってたしなぁ。
 野崎の内心のぼやきは胸の内にしまう。
 一通り場所を案内した頃には休憩タイムだった。
「では、こちらまた書類の手続きと勤務のルールに関する話をいたします」
「はーい」
 面談スペースに2人きりで今後の勤務予定や、どういった人が働いているかや、職場のルールを説明を受けた。
「では、次は水曜日なので、遅れずに来てください」
< 262 / 928 >

この作品をシェア

pagetop