世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「そんなに有名だったんですか。全然知らないです」
「まぁ、昔の話だからね。私が子供の頃ぐらいの話だから。今は控えめという感じかな。名前を表にやたらアピールしないスタンスに変えてる」
 結花の実家の話を聞いた男性スタッフ達は「あっ、察し……」と言わんばかりに口をつぐむ。
「色々あって彼女は働くことになったんだけど、まぁ、今日の朝礼の態度見ただろ? 世間知らずムーブかましてるから。メモを取る気配すらなかったし、質問したと思えば、既婚者かどうかだったからな」
 結花の態度を見ていたらとてもじゃないが採用したくないタイプだ。仮にしたとしても、表舞台でるとお客様と喧嘩になるのは目に見えている。
「えー、うそでしょ!? ひどいわぁ……」
「注意したらしたで、反抗的になるからなぁ。多分相手を選んでる。だから君たちも気をつけて。特に男性陣は、彼女の餌食になるかもしれないから、何かされたら、報告して」
「いや、さっき俺たち彼女の有無とか名前聞かれたんですが……」
 男性スタッフ達の報告を聞いて野崎は手で額に当てる。
「そうなの。だから私達が話し相手になったの。見てて嫌そうだったから」
「そうか……」
 これは明日注意しないといけないなと思うと憂鬱になる。
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