世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
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農産部門は太刀川、小野田、塩浦の3人と高校生バイトの男性1人がせっせと手を動かしていた。
あれ、あの男の子――朝礼で目をつけた子!
よっしゃぁ! これで多少やる気でた!
彼女いるのかな? いなかったらからかってあげよう。
「みなさーん! 手をとめてー」
福島が手を叩いて作業中断を呼びかける。
作業していたメンバーは振り向いて、福島に視線を向けた。
「今日から入る、依田結花さんです。皆さんよろしくお願いします」
ほら頭下げて挨拶してくださいと促され、結花は「よろしくお願いします」と少しテンション高めに挨拶した。
「あらー、ゆいちゃん! ここだったんだ!」
「よかったー。若い女の子増えて」
「ね、相川《あいかわ》くん、ほら若い子きたわよ!」
声が高くなるおばちゃん3人衆に対し、相川は少し警戒気味で目線をそらす。
あぁ、このスポーツ刈りの子は相川くんていうのか。あとで名前聞いてみよっ!
「よ、よろしくお願いします」
相川はぎこちなく一言挨拶しただけで、視線を福島に向ける。
「ほんとゆいちゃんが来てくれてよかったわぁー」
「そうそう」
「ね、今から教えていい?」
おばちゃん3人衆が目を輝かせて福島にアピールする。
その姿は可愛い孫を目にしたおばあちゃんの図だった。