世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 確かに入った年や生まれた年が1つ違うからと、偉そうにされるのは嫌だという気持ちは分からなくもないが、それもだんだん気にしなくなるものだと思う。
「なら、言動と態度で示してください。無条件で敬ってもらえると思ってたら大間違いです。真面目に仕事してください。ほら、もう1回教えますので」
 福島は内心あきれつつも顔に出さないよう、深呼吸をする。
 その後福島、小野田、太刀川達のフォローと指導のおかげで、時間かかるものの、一通り出来るようになった。
「おおっ! すごい! ゆいっちゃん!」
「商品は丁寧に扱ってねー!」
「その調子です。次はスピードアップを目指しましょう!」
 結花は女性達に褒められて「当然よ」と鼻息荒くする。
 なんでオバサンにこんなとやかく言われないといけないの? まじ屈辱すぎる。
「あとは塩浦さん達の手伝いをしましょう。時間が空いたら他の人の手伝いもするように心がけてください」
「わ、わかった……」
「『分かった』じゃなくて『分かりました」です」
「分かりました」
 些細な言い回しでも言い直しをさせられることに、結花は苛立っていた。
 相川と塩浦はなれた手つきで流れ作業のように袋詰めしていく。
「塩浦さん、こちらの袋詰めも教えたいので、一緒にいていいですか?」
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