世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 おなじく積まれたものを中から取りだしせっせと陳列していく。
「段ボール持てそうですか?」
 みかんが積まれた段ボールを下ろすよう指示されたが、結花は「むりでーす。箸より重い物もったことありませーん」とすぐに音をあげる。
 福島と塩浦は顔を見合わせて目を丸くする。
 こんな単語本当に言う人いるんだと呆れ通り越して感動する。
「これからこの仕事する以上、段ボール持てませんから下ろさないは通用しないよ。確かに重いけど。私が手伝うから」
 塩浦が後ろもってと2人体制で抱えるようにお願いしたらなんとかいった。
 結花はあー腰痛い、座りたいと腰をトントン叩く。
「呉松家のお嬢様にこんな力仕事させるなんて失礼よ! どんな教育してるの?! 夫に言いつけるわよ!」
 福島は「それはこっちのセリフだ」と言いたいのをこらえて「まだ慣れてないんですね。これからゆっくりやっていきましょう。私も最初そんな感じでよくパートさんに怒られてました」と失敗談に話題を変えた。
「そうなの? だってそんな風に見えないから……」
「私は昔から多少体力に自信があると思ってたんですけど、意外と腰に来たり、腕痛めたりとありましたから。だから、定期的に整体やマッサージに行ってるんです」
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