世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「あのですね、素敵だと思いますが、このネイルはまずいかと。多分仕事中に壊れる可能性ありますし。それにスーパーの仕事は基本的に控えた方がいいかもしれません」
「だめなの?! いーじゃん、おしゃれなんだしー! じゃあ、力仕事なしにしてよ。これ取るのにもお金かかるのよ? 会社がだしてくれるのなら、考えてあげるけど」
 思いがけない要求に福島と塩浦は会社がだすのと聞き返す。
「そうよ、当たり前でしょ。私は働いてあげてるんだから」
 2人は結花の要求に開いた口が塞がらなかった。
「……それは店長か人事部長に相談してください。難しいと思いますけど」
「だって、会社からの指示なんでしょ?! それなら会社がネイルオフのお金を出すのが筋じゃない?! ね、塩浦さん?」
 話を振られた塩浦は困惑して目で福島に助けを求める。
「ネイルを理由にごみ捨てしない理由にされても困ります。なんのためにここに来たんです? じゃあ、これ取ったらやってくれるんですかね?」
「考えておくわ。お金出さないならやらない。ごみ捨てもしないから」
 結花の言い分に2人はこれ以上何も言わなかった。
 福島と塩浦は時計を確認して「……もう今日はおしまいですね。お疲れ様です」と挨拶して持ち場に戻った。
< 285 / 928 >

この作品をシェア

pagetop