世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!

7

 妙に暖かい日か寒い日が続いて、服装選びに困る時期が来た。
 しかし結花はそんなのお構いなしに、出勤時はミニスカに肌が見えそうなスリップでブーツだ。上はさすがに寒いので着ているが、これもブランド物だ。
 結花はすでに着替えて勤務開始を待っている相川に声をかける。スマホとにらめっこしながら、足を組んでいた。
「かっちゃーん、おはよぉーっ! ね、これ似合ってる?」
 くるりと一回転して「どう? 似合ってる?」とアピールする。
 相川は目を合わせず冷めた口調でいいんじゃないですか。早く着替えてくださいと答える。
「あとその名前で呼ぶのやめてもらえます?」
「だってーみんなそう呼んでたからさぁ-。顔こわーいっ。せっかく今日はかっちゃんと一緒に出来るからって気合い入れてきちゃった」
 結花はてへぺろと言って相川の頬をツンツンする。
 顔が引きつって「やめてくれますか」と席を移動する。
 全身に鳥肌が立った。
 なんなんだこいつは。馴れ馴れしいんだけど!
 てか、これセクハラ?! 女から男もあるのか?
 ああいうのはおっさんが若い子にベタベタ触ったり、エッチなことを言ってきて嫌がってるのを楽しんでるイメージがあるけど、それの逆版ということだよな?
「早く着替えてきてください」
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