世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「そんなー、まさか。単に座り込んでる人がいたから声かけただけですよ。呼吸つらそうだったのでー。それがたまたま男性だったというだけですよ。もし依田さんが同じことあっても、私は同じように対処しますよー」
 コロコロと笑う春日に結花は口先をとがらせて「あー、そーですか」と拗ねる。
 後から太刀川がやってきて、相川が息苦しそうであることを春日が説明する。
「ちょっち働きすぎだよ。高校生で過労なんてだめ、絶対だよー。ちょっと休憩スペースで休んできな! あとは私達にまかせんしゃい! 自分でいける? 店長呼ぶ?」
 太刀川は胸を叩いて高らかに宣言する。
「は、はい……、お言葉に甘えさせて頂きます」
 春日が内線で野崎がいる事務用スペースに内線で呼ぶ。事情を聞いた野崎はすぐにきた。
 相川の顔色の悪さに気づいた野崎は「ちょっと連れて行くから、やっててくれ」と休憩スペースに連れて行った。
「依田さん、先ににんじんの袋詰めお願いします。太刀川さんちょっといいですか」
「はぁ? なんで私が?! あんたがやりなさいよ!」
「ごめんね、ゆいちゃん、ちょっとお話あるから、また後で一緒にしましょ」
 太刀川がなだめるが、結花はなんでよと突っ立っていた。
< 300 / 928 >

この作品をシェア

pagetop